アルタイル*キミと見上げた空【完】
「よっ!」
手を挙げて、勢いよく言った私の言葉に周りの人がちらっとこっちを見る。
し、しまった。
気合い入れすぎた…。
「ブッ……なんだよ、お前。どんな遠くに挨拶してんだ、って話」
吹き出して笑う凱の顔はやっぱりあの頃と変わらない。
けど、今度は胸の痛みもなく凱を見れた。
痛み、よりも、この前会ってから感じてたぎこちなさが薄まった気がして、嬉しい。
「凱、笑いすぎだって」
ようやく笑いが収まった凱はそれでもまだ息を整えながら、言葉を続けた。
「だって……こいつさ、何年たってもかわんねーんだもん。な?」
な、って私にふらないでよ。
「おこんなよ、汐。ようやく帰ってきたなあ、って嬉しいんだから」
凱の多分何気ない一言が私の心の奥をひろっていかないように、私はわざと話題を変えた。