アルタイル*キミと見上げた空【完】
ブーブーブー・・・・・・
手元の巾着から伝わる携帯の振動に、再び時間が動き出す。
「はい・・・・・・・うん、うん・・・・今行くね・・・」
私が携帯を閉じると、凱が少し笑った。
「修也、だろ?」
「うん。今着いたって・・・」
「そっか・・・」
「じゃ・・・私行くね・・・・・・凱は?行かないの?」
花火が上がり始めた音が聞こえる。
凱はその方向をちらっと見てため息をついた。
「あぁ・・・・どうすっかな。少し・・・落ち着いてから行くわ」
「クスクス・・・・凱、花火苦手だもんね」
「うるせー・・・・って・・・・・・お前もだろ?」
「はは・・・そうだったね」
近くであがる花火の音が、胸に響くなか、向けられる凱の表情がすっとまっすぐに変化したのがわかって、私は動くことが出来なくなった。
「行くなよ・・・汐」