アルタイル*キミと見上げた空【完】
「え・・・・?」
瞬間、凱を見ていた私の視界が空へと移り、手にしていた風船のひもが指から離れて、真っ黒な空に銀色の光がキラキラしながら少しずつ小さくなっていくのが見えた。
「汐・・・・行くな・・・・っ」
凱の低い声が耳元で聞こえる。
背中にまわされた凱の腕に、ぎゅっと力がこもるのを感じた。
抱きしめらてる、その懐かしい感触に、振りほどくことも出来ない。
胸の奥から、喉の奥から、ずっと我慢していた・・・・感情が熱く盛り上がってくるのを感じて、目を閉じた。
「汐、このまま・・・・どこかに・・・・・」
かすれたような凱の言葉と、
「あ!風船が飛んでってる!!」
どこかで小さい子供の叫んだ声が重なって、とっさに凱の体を押しのけた。
「ダメ、だって・・・・凱」