アルタイル*キミと見上げた空【完】
一瞬、悲しそうな凱の表情が見えて、すぐに目を伏せた。
「ダメだよ・・・・もう・・・」
「・・・・・・修也が、待ってるもんな・・・」
「・・・凱だって!・・・・・・凱だって、サキちゃんが・・・・待ってるでしょ?」
顔を上げた私の前で、驚いたような顔を見せた凱にくるりと背中を見せて、
「ごめん・・・・・・私・・・行くね」
「汐・・・っ!」
凱の言葉も聞かずに、私は人の波にまた飛び込んだ。
ほら・・・・
流れてる。
悲しいことがあっても、辛いことがあっても、たとえ立ち止まりたくても、
こうやって、流れのなかに入れば、足は動くし、時間はすぎていくんだ。
まぎれてしまえばいい。
この気持ちも、今こぼれおちる涙も。
流されてまぎれてしまえばいいのに・・・・。