アルタイル*キミと見上げた空【完】
「汐、浴衣似あいすぎ。早く2人になりたいんだけど・・・」
「え!?」
思わず大きな声を出した私の頭をポンポンと叩いて、修ちゃんは誤魔化すように空を見上げた。
顔が熱くなる。
修ちゃんが、そんなこと言うなんてあんまりないから、余計に恥ずかしいよ。
今度は違う意味で頬を押さえる私の耳に聞こえたのは、サキちゃんの声。
「ガイ~、どこ行ってたの?花火もう少しでまた上がるよ~!!」
思わず振り返ると、サキちゃんが腕を絡ませた凱と一瞬目が合って、慌てて視線をそらせた。
「な~、ガイとSAKIってやっぱり・・・そういう仲なの?」
誰かがそう言うのが聞こえる。
「えへへ、そう見える?」
なんて嬉しそうに答えるサキちゃんの声に、私は思わず空を見上げた。
「花火、まだ始まらないのかな」
「汐・・・・」
隣の修ちゃんが私を見つめているのがわかったけど、私は心の底から祈り続けてたんだ。
お願い、早く花火で隠して。
空に広がる夏の星たちを。
早く、早く。