アルタイル*キミと見上げた空【完】
修ちゃんは少し間をおいてから、ゆっくりとその指輪を私の薬指に通した。
何年もの時間をかけて、このリングがやっと行き場をみつけたんだ。
指にはまったとたんに、その輝きが違って見えるのは何故だろう。
「修ちゃん、ありがとう」
小さくつぶやくのと、修ちゃんの胸にだきしめられるのと同時だった。
「汐、好きだよ」
騒ぎ立てる周りの声に、かき消されるくらいの小ささで耳元でささやいた修ちゃんの声は、少し震えているようにも思えた。
「マジで!?すげー。おめでとうございます!!」
メンバーからの祝福の声が少し遠くに聞こえる。
凱は?
凱は・・・・?
彼は、空を見上げていた。
ねぇ、星がそこから見える?
凱。
こんなに近くにいるのに、私にはもう見えないんだ・・・・・。
ねぇ、凱。
さよなら、ってようやく言えるね。
やっと・・・・言えるね。
バイバイ・・・・・・。