アルタイル*キミと見上げた空【完】
そんな私の様子なんか気づかない調子で、
汐の興奮は体育館に近づくにつれますます高まってるようだった。
「その彼が今体育館で練習してるって、それがイケテルんだって、大騒ぎになってんのよっ!」
「う・・・ん」
体育館につながる渡り廊下には、もうすでに押しかけた生徒達で埋まりかけていた。
「さぁ、行くわよ・・・・って汐?」
体が、重い。
「ごめん。凛。私いいや」
「なんで?本場のプレー見たいと思わないの?」
「今はそんなに・・・」
って言いかけた時に、体育館の方からひときわ高い歓声が起こった。
「すげー」
キャーキャーという黄色い歓声と、男子生徒のため息。
「あ~~ん、もう見えないよ~~」
汐が背伸びをしてぴょんぴょん飛び跳ねてる。
後ろからばたばたと足音がしたと思ったら、走って来た女の子がぶつかり、、その衝撃と共に足がよろけた。
瞬間。
すっと腕を掴まれ、気づけば目の前に大きな背中があった。
「お前はここ」
「修ちゃん・・・・・・」
修ちゃんが私の手をとって、壁と自分の背中で守ってくれてるのがわかった。
しかも、周りに気づかれないように。