アルタイル*キミと見上げた空【完】
その時、体育館の中から声が聞こえた。
「栗原修也?」
少し低いその声は、どこかで聞いたことがある声だと直感でわかった。
けれど、その声の持ち主は誰だったろう・・・?
考える間もなく、人ごみをかきわけて現れた男の子は・・・。
茶色く染めた髪の毛は、無造作に分けられてて、耳につけられたピアスがピカピカ光ってる。
二重の瞳は、黒目が少し大きいことで、よりくりっとした印象をうける。
身長は、修ちゃんと同じか少し大きいくらいかも。
けれど、私の胸のドキドキは、さっきから止まることなく、激しさを増していく。
目を細めて「彼」を見つめた。
「安東さん」と呼ばれてる彼に、
私は何を探そうとしてるんだろう。
修ちゃんがゆっくり彼の方に進んで、嬉しそうにお互い握手をしてるのがなんとなくわかった瞬間に、私の体は壁にもたれながらゆっくりと傾いていった。
まぶたの裏で、夜空を一緒に見上げたあの夜の凱の横顔が浮かんだ気が、した。