アルタイル*キミと見上げた空【完】
あっ……。
「行くなよ…汐」
気がつけば、凱のかすれた吐息混じりの声が耳元で聞こえる。
掴んだ左腕を引っ張るようにして私を抱きしめた凱は何度も何度もそう繰り返してた。
まるで、全身が心臓に支配されたみたいに、体全体がドクンドクンと脈うってる。
声を出そうにも、のどがカラカラにかわいてはりついたように、音にはならない。
息が苦しくて、どんどん体が熱くなってくる。
「汐?」
ふらふらとした感触は、ふっ、と一瞬舞い上がって……落ちる。
「汐!」
崩れて行く感覚の中で聞こえた私を呼ぶ叫び声に…
ダイスキ
大好き…大好き……
言えなかった言葉を何度も何度も心の中で繰り返していたんだ。