アルタイル*キミと見上げた空【完】
「凱・・・?」
寝室からリビングに顔を出すと、シンプルな部屋の向こうにあるカウンターキッチンにいる凱と目が合った。
瞬間、
「何やってんだよ。横になってろ!」
怒鳴り声で、もう一度ベッドに戻ると、しばらくして少し怒ったような表情をした凱がトレイを手に戻ってきた。
「まだ、熱あるんだから、無理すんな」
「うん・・・」
「んで、これほら」
「え?」
これ・・・。
「もしかして・・・凱がつくったの?」
トレイにのせられたお茶碗の中のそれはおかゆ・・・?ちょっと・・・・
「茶色い・・・よ?」
「ちょっと失敗したんだけど・・・でも味は悪くないと思うから、ほら、食え」
顔を少し赤くしてぶっきらぼうにスプーンですくってくれる凱がなんだかとても可愛くて、思わず笑ってしまった。
「笑ってないで、食え!」
「はーい」
そっとスプーンを口に運ぶと、少し焦げたようなにおいはしたけど、
「美味しい・・・」
そうつぶやいた私の顔を見て、凱はほっとしたようにつぶやいた。
「まじで?よかった~・・・」
「凱、料理苦手だったのに・・・すごいよ。本当に美味しい」
凱はへへへ、と口の端を少しあげて照れ笑いをしていた。