アルタイル*キミと見上げた空【完】


「汐・・・・」


伸ばされた指先を避けるように、私はぶんぶんと首を横に振った。


「凱、ダメ・・・だよ・・・・」


修ちゃんを・・・・裏切れない。


修ちゃんの夢を破ってしまったことを、忘れることは出来ない。



だから・・・



「私と凱は・・・一緒になっちゃいけないんだよ」



昔・・・


初めて七夕伝説を聞いたときに、織姫と彦星は1年に1度会うことが出来るんだって、とてもドキドキしたのを覚えてる。


離れてても、忘れずまた会えるなんて、一緒にいるよりもっと絆が深いような気がして。


そして、その時は星と星との間の距離が本当に近くなるんだって、わくわくしながら7月7日の夜を過ごしたことがあったっけ・・・・。


小さい頃は、それでも眠ってる間に星が本当に会ってるんだ、って信じてた。


星同士の距離が1年に1度だけ近くなるなんて、そんなことありえないことなのに、何年かそうやって過ごしてたな。


そんなことなんて、あるわけないのに、何故かすごく嬉しかったんだ。



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