アルタイル*キミと見上げた空【完】
エンジンをかけられた車の中には、まだ潮のにおいが残っていて、大きく息を吸い込んだのは、やっぱり少しだけ名残惜しいから。
「また来ような」
そんな凱の言葉を合図にして、車は動き出した。
もうすっかり日が落ちてるけど、どんどん近づく街の中は、星空が見えないほどの明かり。
「見たかったな・・・・」
思わずつぶやいた声に、運転手からの返事。
「いつでも見れるよ。これから・・・きっと」
「うん・・・」
けど、さっきから、この街に帰ってきてからまた大きくなる胸の塊はどうしたらいいんだろう。
「汐・・・・後悔してる?」
「え?」
突然の言葉に、ちょうど信号で止まってる凱の横顔を見つめた。
「後悔・・・・?」
後悔・・・・?
そのまま、車は路肩に停められた。
「サキと・・・会ったんだろう?」
「・・・・・うん」