アルタイル*キミと見上げた空【完】
「汐、ここから見えるあの店の看板、わかる?」
凱の長い指が指す先に見える看板。
「『ブレイズ』?」
「あぁ。そこに修也がいる」
「・・・・・っ!?」
指先から目を外して、凱の横顔をみると、彼はそんな私にお構いなくただ視線を『ブレイイズ』においたまま、言葉を続けた。
「お前の今抱えてるものは・・・きっとあいつしか今は解放できない、と思ったから」
「凱・・・・?」
私の視線の前で凱はぎゅっと目を閉じてうつむいた。
「けど、修也にお前を返すとか渡すとか、そういうのは全然考えてないから。汐は・・・絶対に戻ってくる、って信じてるから」
「凱・・・・」
視界が崩れてゆく。
「泣くな、って言ってんだろ?最後みたいじゃねぇかよ。笑って行けよ?俺はずっと待ってるから。終わったら、電話して・・・・・・・」
「凱、凱・・・・・ありがとう・・・」