アルタイル*キミと見上げた空【完】
私も知りたい。
急に連絡が取れなくなってること。
そして、あのいきなりの婚約解消の話。
それから・・・・私は凱と一緒にいたいんだということ・・・。
ハンカチで目元をしばらく押さえてから、私は車のドアを開けた。
「じゃ・・・・行って来るね・・・」
運転手の凱はハンドルを握ったまま、私を見上げる。
その瞬間。
私の体はぐいっと車の中に引き寄せられて、気がつけば目の前に凱の髪が広がる。
同時に、耳元でささやく彼の声。
「愛してる・・・・がんばれ、汐」
ばか。
せっかく涙を抑えたのに、そんな言葉・・・・。
またハンカチ出さないといけないじゃない。
「それじゃ・・・・行ってきます」
そう言って私は、『ブレイズ』の看板に向かった。