アルタイル*キミと見上げた空【完】
お店の中に入ると、ちょうどご飯時を迎えてお客さんが何人かテーブルについてるのが見えた。
えっと・・・・
「ご予約のお客様、ですか?」
店員さんに声をかけられ、「いいえ」と小さく手を振るのと、
「汐・・・・・?」
と聞きなれた声がおくから聞こえるのとほぼ同時だった。
ちょっと顔をずらすと、奥のテーブルに、立ち上がった修ちゃんが見えた。
驚きの表情は、きっと私が来るなんて思ってなかったんだろう。
じきにそらされた視線に、正直心はひるむけど、
ぺこっ、と店員さんに一礼をして修ちゃんの座るテーブルに向かった。
「凱は・・・?」
ううん。
首を振ると、修ちゃんはうつむき加減にため息をついた。
「座っても、いい?」
どうぞ、と差し出された椅子に座ってはみたものの、こうなるとさっきの威勢はどこへやら・・・・何を、話したらいいんだろう。
昨日、私は振られてて?
その私が、今日、他の人が好きという告白を・・・・する?
ど、どうやって話を切り出したらいいんだろうか・・・。
所在無く、窓の外をちらっと見ると、向こうの方に凱の車がまだ停まってるのが見えた。
『がんばれ』
はんすうするように何度か頭の中で凱の言葉を思い出すと、すぅっと、頭に酸素が戻ってくるように感じた。
よしっ。