アルタイル*キミと見上げた空【完】
「何?」
修ちゃんは立ち上がったまま椅子に手を置き、私を見てにこっと笑った。
あ・・・・笑顔。
だけど、これって修ちゃんの「営業スマイル」
私には、こんな風に笑うことなんて、絶対になかったのに。
「修ちゃん・・・・なんか、変だよ?」
「変?」
私の言葉に少し大きな声で反応した修ちゃんは、くっ、と口の端をあげて笑った。
「汐。別れる、ってこういうことだよ。俺が他の女性を選んで、汐が、他の男と一緒になる。変わったとしても全然おかしいことじゃない」
「・・・・・けど、時間がそんなにたってないのに・・・・こんな・・・」
「じゃぁ、聞くけど・・・・・」
修ちゃんの長い指が私のあごを引き上げる。
「もしかして、汐は俺と凱と両方と付き合えればいいや、って思ってるわけ?」
「修、ちゃん・・・・」
何、言ってるの?
「汐がそんなに言うなら、俺もそれにのってもいいよ。ただし・・・サオリが本命だから、お前は二番手ね」
バシッ!
てのひら全体が一瞬で破裂したかと思った。
痛い、というより、熱い。
気がつけば、店内の中で私は修ちゃんの頬を思いっきり殴ってしまっていた。