アルタイル*キミと見上げた空【完】
て、いうよりも、ありがたかったんだ。
サオリさんが近くにいると、どうしても考えてしまうから。
彼女の言ったことが百パーセント真実だなんて私には思えないし。
けど、全部が嘘なんだ、って言いきることもできない。
ただ、彼女のそばには、いたくなかった。
子供だよね・・・私。
アスファルトにザッザッと私のスニーカーの音だけが響いて行く。
出るときは、まだ夕闇が薄い色をしてたのに、
見上げるとグレー色がどんどんその幅を狭めていることに気づいた。
あ……。
タッタッタッと足音が聞こえたと思った瞬間、
私の顔の横に腕が伸びる。
「一番星。はい、俺の勝ち」
驚いて振り返ると、
「てか、いつも俺が勝ってるよな」
って私を見てニカッと笑う凱がいた…。