おつかれマイハニー





「地斗!

おめーいい加減部活こいよ!」


教室に入ろうとしたとき、仲野君の大きな声が聞こえて立ち止まった。


やっと人並みの時間に登校することができた。

そして、平穏な学校生活が始まると思ったのだけれど……



「めんどくせーし」


本当に面倒くさそうな、矢澤君の低い声。


「今年で最後だろ!?」

仲野君は朝から元気。
というか、興奮しているというか。



とにかく、何となく近寄りたくない雰囲気に包まれていた。


……私の席周辺が。



ふと、タイミングをうかがう私と矢澤君の目が合った。


実は、これから顔を合わせるのだと考えたら、メールや助けられていたことを思い出して、さっきまで心臓がドキドキしていたのだ。


その緊張も仲野君の大声を聞いて、何処かへ行ってしまったのだけれど。


「ゆながマネやるなら部活出てもいい」


こんな気だるそうな目と声に、また鼓動が速くなってしまったなんて。

正直、認めたくない……





……って、え!?


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