おつかれマイハニー



私達は教室の窓際まで移動した。

自分の机に荷物を置いて、ケータイを取り出す。



……かけたくない。

かけたくないけれど。


三種類の視線に耐えられず、通話ボタンを押した。



『……はい。堀川です』


「お母さん?水雫」


『どうしたの』


「あのね

サッカー部のマネージャーやって欲しいって頼まれたんだけど……」


『サッカー?』


「うん。ダメだよね。受験あるし」


『サッカーって、男子の方よね?』


「そうだけど……?」


『いいじゃない』


「え」


『頑張んなさい。じゃーね』


ツーツーツー



(何を……?)


少し気になるけれど、そんなことより。


こんなにあっさり許可がおりてしまうとは。



目をキラキラ輝かせている仲野君と目が合った。





「……いいって」

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