ちょっと待って、流れ星
されるがままに屋敷へと足を進めたわたしはとうとうその他人の家に上がり込んでしまった。

やはり屋敷の中も現代的ではなく、古くさいを通り越した古風なもので、どれもこれも逆に新鮮である。


わたしを連れてきた彼は相変わらず、ニコニコしていて、わたしの目の前にどかりとあぐらをかいていた。

「まあまあ、くつろぎなよう。どうしてきみがこんなところにいるのかも気になるしねえ。教えてくれないかい」

顎をさすりながら言う彼の瞳は柔らかい表情に反し、鋭かった。どうにも状況を理解できていないのが事実だったが、話すことで何か分かるかもしれない。


「えっと、自分の部屋の窓枠に座って星を見てたんです。そしたら流れ星が見えて。初めて見たもんだから嬉しくって、舞い上がってたら、落ちゃったんです。そしたら気付いたらここにいて……あの……もしかしてわたし、死んでて、……あなたは死神ですか」

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