ちょっと待って、流れ星
一瞬の沈黙。

そして、目の前の彼の素っ頓狂な声。彼は目を丸くした後、大笑いしだし、しまいには咳き込みだした。

「あ、あの……」


大丈夫ですか、と声を掛けようとしたら、どすどすと大きな足音が襖の向こうから響いてきた。

どすんどすん、どすん。


部屋の前で足音はぴたりと止み、今度は勢いよく襖が開けられた。


「兄貴ー!どうしたんだ!」

襖が開かれ、そこから現れたのは、わたしと同い年くらいの少年と少女だった。

少年は肩で大きく息をしていて、目の前で悶えている彼と同じような髪型、そして色違いの服を着ていた。しかし、顔は『兄貴』であろう彼とは似ておらず、大きなきりりとした瞳が印象的だった。

少女はというと、少年の肩の辺りからひょっこり顔を出しているので、全身は見えなかったが、垂れた優しげな目元が可愛らしい。


「兄貴、な、何やってんだよ」

威勢よく声を張り上げて登場したものの、少年は目の前の状況が飲み込めないらしく、その声は今や弱々しかった。

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