ちょっと待って、流れ星
ひさめ。

そんな名前は初耳であったが、その名前が場の空気を凍らせたのは明らかだった。

清彦さんも、話が始まると清彦さんの隣に座った彼女も、表情がとても固い。思い雰囲気が賑やかさで忘れかけていた不安を呼び起こした。

「この子は屋敷の庭にいたのだけど、わたしが行く前にもう一人誰かいてねえ。一瞬、銀髪が見えたんだよ」

あの人だ。運命に引き寄せられたと言った顔の見えない誰か。
わたしはまだその人の声を忘れてはいなかった。

「銀髪と言えば、氷雨たち一族しかいない。しかしどうやらいたのは男性のようでねえ。おそらく、息子の朔だろう。それからこの子の服装。とてもこの世界のものじゃない」


誰も何も言わなかった。知らないことばかりだったが、その話の内容は確実に悪いものであるのだけは分かる。

「氷雨は、また行動を起こしたんだろうねえ」


彼の喋り方は相変わらず間延びしたものだったが、低い声がとても重たかった。
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