ちょっと待って、流れ星
「どういうことだよ……」

清彦さんの舌打ちが静かな部屋に響いた。

「どうにかしなきゃなんだよ、清彦。まずはこの子に理解をしてもらおう、氷雨のこともわたしたちのことも」

そう言うと、彼はすっと背筋を伸ばし、正座をした。強い眼差しにわたしは動けなくなる。

「わたしの名は相模清和。生業は術師。きみには陰陽師と言えばわかりやすいかなあ。清彦も見習いだけれど、術師をしているよう。茜はわたしたちを手伝ってくれているんだ」

茜さんがにこりと優しく笑ってくれた。強ばった表情をしているわたしを気遣ってくれたのだろう。

「わたしたちは全力できみを護る役目を持っている。氷雨の狙いはきみだからねえ」

どきり、とした。何も言えなくて、口がパクパクと動く。訳が分からなくて、声さえでなかった。

急展開すぎる話にまったく脳ミソがついていけていない。

「きみは死んで黄泉の国にでも来たと思っているみたいだけど、それは違う。氷雨が呼び寄せたんだ。この屋敷に現れてくれたのは不幸中の幸いだねえ。そして、きみがどうしてこんなところに呼ばれたのかを話さなきゃあならないねえ」

清和さんの言葉がぐるぐると頭の中を回っていた。理解できずにただ文字となって浮かぶだけ。

「まずは確認。十中八九、わたしはきみの名は月子だと考えている。違うかい?」

つきこ。ぐるぐる言葉が回るのがぴたりと止んだ。

その名前は母が付けてくれた大切な名前、そのものだった。
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