ちょっと待って、流れ星
「その表情を見る限り、当たりみたいだねえ。それから、月子ちゃん、きみは母親を知らない。そして父親の名は栄介」

ずばり、そうだ。頭が混乱してぐちゃぐちゃになる。

「月子ちゃんが生まれる一年前、栄介さんもここにやってきたんだよ。そしてきみの母親、藤姫様と出会った」


お父さんが……?藤姫様?その人がお母さん?


「月子ちゃんは今すぐにでも二人のことを聞きたいだろう。でもまずは氷雨たちについて話さなければならない。いいね?」

母のことを聞きたかった。けれど、今のままじゃ理解できず混乱するだけなのだろう。

わたしは小さく頷いた。

「それじゃあ、始めるよ。氷雨たちはわたしたち相模の一族と同様に術師としての強い力を持っていた。そして彼らの特徴は銀髪であることだけど、それ以外、相模と違いはほとんど無い。五十年前までは相模とともに帝に重用されていたんだ。

けれど、その五十年前の帝はあまりに傲慢だった。わたしたちのこの世界と月子ちゃんたちの世界は同じ太陽を持ち、月を持ち、星を持っている。その中で一番、強大な太陽を所望したんだよ。

天照大神を知っているだろう?神話の中の太陽の神だけど、今や神はいないにしてもその力は存在するんだ。

世界を照らすその力を握れば、世界を掌握したも同じ。月子ちゃんたちの世界が創世されたとき、神々は存在し、今では、姿こそ無いものの、それぞれが司るものに力を宿している。一番強大な天照大神はその力を太陽に宿したんだよ。

そして、神々はその姿に限界を感じ、姿を消すとき、愚かな人間が太陽の力を得ることができないように今、きみがいるこの世界を作ったんだ。

なぜなら、その力を得るには、二つの世界の血が必要とし、力を得ることを格段に難しくするためにね。違う世界の人間を呼び寄せることは禁術で、高い術師としての能力が必要なうえ、使った人間を死に至らしめるほどの消耗を与える。それに呼び寄せたからって血を得られるかはわからない」
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