ちょっと待って、流れ星
お母さんがわたしを護ってくれたんだ……
瞳に薄らと涙がたまったのがわかった。

「呼び寄せるのは禁術。しかし送り返すのは禁術を無効にするもの。難しいものの、あのときのように呼び寄せた者が弱っていれば、できないわけでもないんだ。

たまたま娘である氷雨が帝を快く思っていなくて、母の弱った力を補うことをしていなかったんだ。それが功を奏したよ。それで帝の陰謀は失敗したわけだが、自分の身の保全のため、彼は見事に氷雨の母を裏切った。

弱りきっていた彼女はその絶望感で呆気なく死んでしまってねえ。氷雨は恨みを持ちながら、今まで生きてき、息子の朔が力を付けたことで復讐を果たすべく動きだした、ということさあ。おそらく月子ちゃんを手に入れようとしてくるだろう。

月子ちゃんは二つの世界の血を持った子だからねえ」

どくんどくんと心臓が大きく鳴っていた。一度は母や相模の一族が護ってくれたこの命を消したくはなかった。

噛み締めた唇は確かに痛くて、生きている、わたしはまだ、生きている、と自分に言い聞かせた。
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