ちょっと待って、流れ星
いつだって、星はあるべき場所できらきらと瞬くばかりで、するりと滑り落ちるなんてことはしない。

一度くらい、定められた場所を抜け出すところを見てみたかった。


運があまりにも無いのか、ここ数年、幾度となく夜空を見上げていたのだが、流れ星に出会えたためしがない。


何億光年。

果てしない光はたった十六年前ならば、今と同じように照らしていたはずだ。写真さえ見たことない、わたしの生と入れ代わりにそれを失った母を。


わたしは、いつも夜空の星に母の姿を重ねていた。
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