ちょっと待って、流れ星
美しい銀色をわたしは忘れることは、きっとできないだろう。

目一杯、人を見下すように努め、漆黒に憂いを隠しているように見えた瞳も然り。


彼の纏う何かがぐさり、とわたしを突き刺していた。

彼は朔。わたしは、月子。

正反対にも思える名前。

いくら脳裏に姿を刻んだとしても決して相容れることはない気がした。

「月子さん、ちょうっといいですかあ?」

襖越しに、清和さんの声が聞こえた。

朔と会ったことは言えない気がして、慌てて窓から離れてから返事をした。

「どうぞ!」

「失礼しますねえ」

清和さんは昨夜とは違い濃い緑を纏っていた。よいしょ、と言いながらわたしの前に座り、にこりと微笑む。

しかし、先ほどの朔のことがぐるぐると頭を回り、上手く清和さんの顔を見れない。

「おや?どうしましたか」

なかなか顔を上げないわたしを不思議に思ったのだろう。にゅうと、俯くわたしの顔を覗き込んできた。それがあまりに近すぎて、鼻先が触れてしまいそうだった。

「わ、あ!」

突然のことで後退りをしてしまう。
しかし、清和さんはそんなこと気にする様子もなく、考え込んでいる。

「具合でも悪いのかと思ったんですが。顔色は悪くないですねえ」

違う、と言いたかったが、上手い言い訳が見つからず、息を飲み込んでしまった。

「ああ!もしや……彼らが来たことですか?」
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