ちょっと待って、流れ星
ここは街灯さえなくて、傍にある立派な屋敷から漏れるかすかな明かりしかなかった。

きっとプラネタリウムより夜空は眩しくて、運がよければ、また流れ星が見れるかもしれない。


ただ、そう思っても、期待に胸は膨らまなかった。チラチラと脳裏をよぎる父の顔が哀しい。

嗚呼、どうか夢だと言って。


誰もいない真っ暗闇に声は吸い込まれていった。時間が経つにつれ、状況が理解できないにしても、それによって不安と淋しさが表れ、どうしようもなくなったのだ。


お願い、お願い、お願い。
夢であって。
ただ窓から落ちて気を失ってるだけだと、言って。


涙とともにまた言葉が零れた。


「夢じゃない、運命がお前を引き寄せたんだよ」


闇に消えたはずの言葉は誰かに届いていて、男の声がわたしの耳に落とされた。
< 8 / 28 >

この作品をシェア

pagetop