伝説プリンセス


「なんだよ、それ。

大金払って寄付してもらうなんて意味ないじゃんか。」


ヒカルは落ち着いた声で"お嬢"と言った。


「寄付と言ってもお金だけではありません。

この町じゃ手に入らない食料とかもあるではないですか。


まだ体が未熟な子供たちが多いので

栄養が多く含まれた食材が必要となります。


そういう食材を手に入れるのに

役所を通じてお金がかかるのです。」



分かってんじゃないかっとヒロはヒカルに笑いかける。



「まぁ、そゆことだ、姫様。

ミミーが勝たなきゃ孤児院の未来はねぇってこと。」


それってつまり・・・


「ミミーと当たったらオレは負けるよ。」


ヒロはきっぱりと言った。



「他のオッサンたちも孤児院の事情を知っているみたいだから


そうするつもりらしい。あんな髭面して善意はあるみたいだな。」



「何が善意だ…。」


後ろから声が聞こえ


振り向くと


ドアの前で涙を流しヒロをじっと見る


ミミーの姿があった。






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