伝説プリンセス


~Princess~


「二人とも決勝進出おめでとう!!」


(in 孤児院のヒロの部屋)


わざとテンション上げて言ったが


自分がK.Yにか思えなかった。



周りはどんよりとした雰囲気。


祝福すべきことなのに…。





「買った気分がしない。」


ミミーはぽつりと言った。


「こんなの…喜べる結果とは思えない…。」



気まずい雰囲気の中、虚しさが混ざる。



「手加減するなよ。」



ミミーは練習に行ってくると言い

部屋を出て行った。



一同、息をつく。



「するわけねーじゃん。」



ヒロは大きく伸びをする。



「え?」



「だって死にたくないもん。」



ヒロは子供のようにケロッとした顔で言った。



「えええええ!?」



「昨日、言ったのはなんなんだよ!!」


ピンが叫んだ。


「勝たせてくれるって言ったじゃんか!!」


続けてチョンが叫ぶ。



パンだけはじっとヒロを睨んでいた。


「カウボーイの恥さらし。」



ヒロはヘラヘラと笑い、

手のひらを上下に振る。


「オレ、カウボーイじゃないよ。

プライドも誇りもない旅人さ。」



"それに"とヒロは付け足した。


「あいつと戦ってみたいんだ。


お前らが言うにあいつ相当、

練習してきたんだろ?


どれくらいの実力か見てみたい。



あとはー…ほら、"どりょく"ってやつ?


お前らだって姉ちゃんの努力を無駄にしたくないだろぉ?」







3ガキトリオは黙りこむ。



「でも…もしかしたら、ミミ―が死んじゃうかもしれないじゃん…。」


「姉ちゃんは死なねぇ!!」


あたしの言葉にパンが噛みついた。


ヒロはハハッとあたしに笑いかける。



「だとよ♪」



いつもの気さくな笑顔だった。




「俺の実力をとくとご覧あれ!!」



…その言葉は果たされることはなかった。―













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