伝説プリンセス
「モップ…ですか…。」
ヒカルはじっとモップを見つめる。
「おぅよ!俺は平和主義なもんでねぇ。
人を切るのは嫌いなんだ。」
「だったら、なんで戦士なんかになったんだよ。」
「うっ、それは・・・」
この戦士、何か隠してる。
「受けましょう。この勝負。」
ヒカルはモップを構えた。
「そうこなくっちゃ。」
青年もモップを構える。
「うきゃあっ!何々!?美少年の戦いってやつですか!!
こりゃ見物料を取りたいもんだぜ!」
「って、そこ黙って見てろ!!」
へいへい、お粗末さまでした。
カンッカンッと音をたて戦闘を始める。
モップを剣のように見える。
受けてよけて受けてよけての繰り返し。
「意外とやるじゃん。」
「そちらこそ。」
んだよぉ、楽しそうにやってんのはお前らだけじゃん。
「ん?」っと青年は剣(じゃなくてモップ)を止めた。
「どうしたんですか?」
「終わったな。」
「へ?」
「戦争。」
青年はモップを下げ、スタスタと裏口へ歩いて行く。
「町に帰るのか?」
「いや…帰んない。このまま逃げる。」
青年はさらりと言った。
「逃げるって・・・」
青年はあたしたちに背を向けたままだ。
「何のために10年も戦争するって言うんだよ。
もぅ俺たちの世代は何のために戦争をするのか知る奴もいない。
そんな戦争もぅこりごりだ。」
青年はそう吐き捨てた。