伝説プリンセス
ゼエゼエ息を吐き
洞窟から抜け出すと
目の前に二人の兵士が現れた。
「手形は?」
あたしは走る時に振り回して
くしゃくしゃになってしまった紙っぺらを渡した。
兵士の一人がそれをじっと見て急に手を挙げた。
(急に手を挙げた事にあたしがビクッとしたのは
見て見ぬふりをしてほしい。)
「門を開けろ!」
もぅ一人の兵士が壁についている
スイッチを押すと門が錆び付いた音とともに開かれた。
そこに広がるのはピカピカ飾り付けられた乗り物。
俗に言う遊園地だ。
「うお~!これが観覧車というものか!でかいなぁ!!」
「ベターズの授業で一度、教科書で拝見したことがありますが
こんな華やかで大きなものとは思いませんでした。」
落ち着き払っているヒカルの目は輝いていた。
「お前ら遊びに来たんじゃねぇんだよ。」
ユウは低い声で言った。
「というかヒロは?」
そういやデッカイ奴がいない。
「ヒロは…
トイレ行った。」
「へ?トイレ?」
ユウからそんな言葉が飛び出すなんて思わなかった。
「さっきの死んだふりはけっこう命がけに近いからな。
小便でもちびりそうになったんじゃねぇの。」
そっか…ヒロは命がけで頑張ってくれたもんな。
小便くらいゆっくりさせてあげてもいいか。
「待つか?」
「いえ、先を急ぎましょう。」
「っで、デイビットの居場所は?」
すると、ユウは人差し指を一本上げた。