伝説プリンセス
その夜。
町長さんに頼んで空き家を貸してもらい
そこで寝る事にした。
大会は明日。
でも、ヒカルは眠れないようなので
少しだけ付き合ってやった。
「ほれ、ココア。冷えるだろ?」
「ありがとう。」
一口飲み、手と一緒にブランケットの上に乗せる。
「なぁ、なんでお前はライナに遣えてんの?」
「国王との契約です。」
「いや…そういう事じゃなくて・・・」
うまく言葉が見つからない。
姫と執事の間には変な感情を
持ち出しちゃいけないと聞いたことがある。
その感情が生まれつつある事は
たぶんこいつは気付いてないんだろうなぁ…。
「僕は執事です。それだけです。」
「でも、エントリーするのはお前の独断だろ?」
ヒカルはうっと言葉を詰まらせる。
そして、落ち着こうとココアを一気に飲んだ。
「なんでしょうね。
僕、お嬢の事はなんでも分かっていた気でいたんです。」
空に向かって息を吐く。
星はきれいに瞬いていた。