伝説プリンセス
~Butler~
刃と刃がぶつかり合う。
いつの間にかスーツはボロボロになっていた。
目の前では力任せにデイビットが攻めてくる。
この剣さばきは基本さえなっていない。
しかし、デイビットの長身、力では
カバー出来るかもしれない。
これは早めにけりを付けたほうがいい。
姿勢を整え、剣を上に持ち上げた。
その瞬間、デイビットのジージャンの裾が
僕の手の甲をかすった。
「ファール!」
審判が声を張った。
「君、相手の体に触れたのでファール。」
審判が僕を指さし注意する。
「そんな・・・僕は・・・」
「見苦しいぞ!少年!!」
群衆の中、怒鳴ったのは町長さんだった。
キリキリと胸が痛む。
飛び交うブーイング。
ふとお嬢と目が合った。
お嬢は黙って僕とデイビットを見つめる。
表情から何も読み取れない。
お嬢・・・どうか僕を信じてください・・・。
「さぁて、ゲームを続けるか。」
デイビットが長い息を吐き審判を見た。
審判はそれに察し、ゲームを続行した。