伝説プリンセス
「ライナ!サチを!」
戦闘態勢に入ったユウにあたしは便乗し
「おう!」と威勢よく拳を突き上げた。
大きな木の下でサチは横たわっていた。
「サチ!」
あたしはサチの元に駆け寄った。
呼びかけながら体を揺すると
サチは眼を覚まし、うつろな目であたしを見た。
「あれ?…ここは…?」
「逃げろぉー!!!」
大声を上げて走ってきたのは必死な顔をしたユウ。
その後ろには先ほどの翅虫でなく巨大カマキリが斧を上下に振り上げながら追いかけてきた。
あたしもサチの腕を引っ張り走り出す。
―が、サチをユウに預けて、短剣を握った。