伝説プリンセス
ヒロは戸惑っている。
「じょーだん、じょーだん。
んなこと、執事は思ってねーよ」
「でも、じゃあなんで…」
「ほら、出張に出かけてる王様に呼ばれてたんじゃね?」
「そうなのかな…」
父さんの命令なら仕方ないか…。
「てか国王ってライナの父親だろ?
単身赴任ってことか?」
「まぁ何年も前からだから慣れてるけどな」
「母親も大変だったろうなぁ~。
こんな問題児を抱えて。」
ユウは含み笑いをしてあたしを見る。
あたしは口を尖らせて言った。
「母さんはあたしが幼い時に亡くなったわい。
だからあたしを育ててくれたのは世話係の人。」
そして……ヒカル。
“亡くなった”という言葉で空気を気まずくしてしまった。
それを打ち破ったのは風の声。
「若い子たちがそんなしけた顔しちゃダメよ?」
大人の女性の声が聞こえたのであたしたちは周りを見渡すが近くに誰も居ない。