伝説プリンセス
~Butler~
「腹へったぁ~。
なぁ、あのガラス割って食っちゃダメか?」
「お嬢、あれはサンプルです。お召し上がりできません…。」
お嬢のお腹がさっきからぐるぐる悲鳴を上げる。
非常食は底をつきた。
パプリカ(グリンピース世界ではお金の事をパプリカという。
1パプリカは日本円で100円に値する。)も少ない。
僕は料理の腕も一応持っているが材料がなければ何も始まらない…。
どうすればいいだろうか…。
そう頭をかかえた時に一人の青年が目の前に立っていた。
「あなたは!ラフランス王国の姫様ですね!!?」
僕らより少し年上みたいな青年。
今すぐにも登山しそうな格好だ。
しかし、僕はリュックサックの隣に背負っている物に目が行った。
「もしかして…狩人さん?」
青年は目を僕に向けて目を輝かせた。
「はい、そうなんですよ!!
オレ、ここらで有名な狩人なんです!!」
「って事は、あの赤ずきんを助けた狩人か!?」
「はい!そうなんです!!さすが姫様、分かっておっしゃる!!」
お嬢はすぐに狩人の話に釘付けになった。
この人…どこも隙がない人だ。
「ところで、お腹もすいているようで…?」
狩人が尋ねるとタイミングよくお嬢のお腹が鳴る。
狩人はニコリと笑った。
「オレが姫様にぴったりなお店をご紹介いたします!」
「本当か!ヒカル!ユウ!助かったぞ!!」
お嬢はスキップしながら彼について行く。
「なぁ・・・。」
僕とユウ兄は少し間を開けて歩いた。
「あの狩人…あやしくねぇか?」
ユウ兄も感づいていたんですね。
僕はお嬢に笑顔で町を案内する狩人を睨みつけた。