伝説プリンセス



「おい!最後にパンプキンパイ持って来い!」


「お嬢、食後にパンプキンパイは微妙かと…。」



すると、狩人が急に立ち上がった。



「オレ、トイレ行ってきますね。」


早足でスタスタと歩く。



「どうしたんだよ。お前らもトイレ行きたいのか?」


狩人を凝視していた僕とユウ兄を見て


パンプキンパイを頬張るお嬢は不思議そうに首を傾げた。



「いえ…お嬢。なんでもありません。」


「なんでもないわけねぇだろ。」


ユウ兄は言葉を尖らす。




「おい、便所ってどこにあんだぁ?」


ユウ兄は近くに居た店員に聞く。



「突き当たりを左側です。」


さっき狩人が曲がったのは

左ではなく右。



「お嬢!ちょっとここでお待ちくださいっ!」


「おっおう。」



僕とユウ兄は大慌てで突き当たりを右に曲がり


非常口と書いたドアを開いた。


「やっぱり食い逃げかよ。」



狩人は道を呑気に歩いていて

こちらの存在に気付いた。


「やべっ!」


「やべぇじゃねぇ!待て!」


超特急で走る僕たちと


(食べ物の恨みは凄いと聞く。)


カチャカチャ音をたてながら逃げる狩人。



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