伝説プリンセス



〜Princess〜


「んだよっ、あいつらトイレ駆け込んで遅いなぁ。」


あたしは突き当たりを右に曲がりドアを開けた。



「あれ?ここトイレじゃないのか。」


ドアを開けると外だった。


(あたしは自覚しないけど方向音痴です。)



遠くのほうでヒカルとユウが座っているのが分かる。

(因みに視力は両目とも2.0以上ある。)


あいつらこんな所に道草くってて…。



「おい!あたしを残して何こんな所で仲良く座ってんだよ。」


「お嬢、あの狩人に騙されてたんです…。」


「あいつ、ぜってー赤ずきんを助けた狩人じゃないぜ。


食い逃げして俺たちに粘着ゴムふっかけやがった。」



そう言う二人の足にはピンクの粘着ゴムがくっついていた。



「なんだよ、こんなの普通に手で離せば…」


ネチョッ


「うわぁっ、くっついたっ!」


ゴムがくっついた手は地面から離れようとしない。


なんて強力なゴムなんだ…。



「誰か助けろぉ〜!」


ピクッと近くを通ったガキンチョがあたしたちを見つめた。


「んだ?ガキの見せもんじゃないよ。」


「おめーもガキとか言えないだろっ。」


そうユウに言われたあたしを無視するガキ。





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