伝説プリンセス




「様子がおかしいってどうしたんだよ?」




はじっこで膝を立てて頬杖をつくユウが聞いた。





「なんか…今までは生き延びるため


 しょうがなく盗んでいたのが、



 最近になって自分で"盗賊"と名乗って


 食べ物以外のものも、


 しかも、毎日のように盗むようになったんだ。」





あたしとヒカルとユウはうーんっと腕をくんだ。




「なんで?」


「おいらだって分かんないよ。


 最近は全然おいらに話しかけてくれないもん。


 食べ物はテントの前に置いてくれるだけだしさ…。」




ガキがそう言った瞬間、


外はまた騒がしくなった。




「あいつを捕まえろー!!!」



そんな声が聞こえる。





「またヒロ兄が何か盗んだんだ…。」


ガキの目に涙がたまる。



あたしらはテントの外に出た。



「いっいきなりどうしたんだよ!?」


ガキはテントの中から


戸惑った顔であたしらを見る。




あたしはガキに笑ってこう言った。



「捕まえてやるよ。盗賊さんをよぉ。」






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