大空の唄‐second‐
もう俺たちの関係がバレたのか?!
でも、俺たちが付き合い始めたのは昨日の話だ。
それに変装もしていた。
バレることでさえありえないのに、さらにはそのタイミングで絢音と一緒にいただなんて、そんな偶然があるのか。
それに、何かあればまず俺自身に連絡が来るはず。
マネージャーは何も言っていなかったし今日もいつもと変わりなかったと思う。
俺はの頭には絢音から携帯を受け取るまでの一瞬に色々な考察が巡る。
顔や態度には出さなかったが、相当同様していた。
俺は、その謎を解き明かすべく早くなる鼓動を押さえ再生ボタンを押した。
聞こえたのは呼び出し音だ。
呼び出し音なんてきっと数秒だっただろう。
でもその数秒がとてつもなく長い時間に感じた。
何度か鳴り響いた機会音は、突然女性の声に変わる。
『はい、こちら星空クリエイティブです。』
『あ、あの…』
『は、はい?』
相当緊張していたのだろう。絢音の声は震えているように聞こえた。
『え、えっと。こちらの番号から私宛に伝言メモが入ってまして…。折り返し電話して欲しいとのことだったんですけど…。』
『分かりました。お名前をおっしゃっていただけますか?』
『泉 絢音です。』
『あ、分かりました。今係りのものに変わります。』
その言葉と共に受話器から流れだすメロディー
俺は今の会話に違和感を感じ、再び思考を巡らせた。
対応していた女は、初めはおどおどしている絢音に不信感を抱いたような対応だった。
しかし、絢音が名前を名乗った途端ハッとしたように声色を変えた。
星空クリエイティブは日本でも有数の芸能事務所で、苦情や嫌がらせも含め毎日とめどなく電話が鳴り響いている。
そのため混乱を防ぐ目的で、電話は全て一旦事務の電話対応の係りに繋がるシステムになっている。
そこから要件を聞き、各個人のスタッフや部署の電話に回されるのだ。
ある程度の情報伝達はされているだろうが、個人の名前まで事務の係が熟知しているとは考えにくい。
次から次へと浮かぶ最悪のシナリオを否定していると、次は男の声が電話口から聞こえた。