大空の唄‐second‐
そんな会話で盛り上がる中、不意に翔が口を開いた。
「バンドするなら少なくとも2人はメンバー募らないとな。」
「そうなんだよ。」
翔の言葉に若干肩を落とす絢音
本来ならバンドとしてデビューすることが多いこの世界
でも絢音は違う、個人のデビューが決まりこれからメンバーを募らなくてはならないのだ。
「SONG OF SKYに入る?」
陽がそう言って冗談っぽく八重歯を見せる。
「社長は何て言ってるわけ?」
翔がそう言ってグラスを手に取ると絢音もオレンジジュースに口を付けた。
「私の好きな音楽をすればいいって言ってくれてる。
必要ならメンバーも集めてくれてるって。」
「あのオヤジ甘々だな。」
翔はグラスに入ったビールを飲み干すとソファーに浅く座りなおす。
「うん、とっても良くしてもらってるよ。
でもね。一緒に音楽を作る仲間は自分で見つけたいなって思うんだよね。」
わがままかな?と絢音は苦笑いを浮かべた。
でもその瞳は真っ直ぐで、キラキラしている。
俺にはない輝き。
「好きにしろよ。あのオヤジもそう言ってんだろ?」
「「あ、空が喋った。」」
ずっと黙って聞いていた俺が口を開いたことを茶化す陽と翔の頭を軽く叩き、絢音の方に向き直る。
絢音はクスクスと笑いながら大きく頷いた。