大空の唄‐second‐


あたしはその何とも心地よい感覚に身を任せ

ふわふわと漂う


夢だからか辺りは真っ暗で、何も見えない


ただ、心地よい感覚だけがあたしを包む


そんな感覚の中にたまに誰かの声が響くんだ


『部屋の鍵は?』


あたしはぼーっとする意識の中でその声に答える


『鞄…』


何だろう、この安心感


『げっ、3階かよ』


そうして大きくフワッ体が揺れると
あたしはまたふわふわして温かい何かに包まれた


気持ちいい…


ふんわりとしていてとっても気持ちいい。


『じゃあな、俺帰るから』


そんな感覚に浸っていると急に映像が流れだした


誰かの後ろ姿が見える、その後ろ姿はどんどん遠ざかり闇に消えていく


あたしはとっさに叫んだ


『行かないで、お願い…傍に居て』


そこであたしの記憶は完全に途絶えた


< 8 / 32 >

この作品をシェア

pagetop