ヴァンパイアに、死の花束を
神音……落ち着くんだ。

やればできるはずよ。

呼吸を整え、自分の神経を全て音だけに集中させる。

中の全ての気配、音、呼吸を感じるんだ。

『吸血鬼』の耳なら、それができるはず……だ。

自分の周りだけがしんと静まり返る。

周りの生徒たちの声も、足音も、全てがわたしの周りから消え去る。

「……………」

……少しずつ、音が聞こえ始めた。

音楽室の中の気配を感じることができる。

……2人だ。

中に感じるのは、2人の呼吸。

知ってる、この呼吸。

陣野先生と……古河泉水……。

「!?」

だめ、泉水、だめよ!!

「先生、ここに呼びだしたのは、先生に抱かれたかったからなの。わたしを…抱いてくれない?」

「抱いてとは…これまた唐突だな」

少し笑みを含んだような先生の言葉。

抱いてって……どういうこと!?



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