ヴァンパイアに、死の花束を
「…先生は普通に『イヴの欠片』にキスをしてって言っても、聞いてくれないでしょう?わかるの。先生からはわたしと同じ『死の匂い』がするから。そういう人ってね、簡単に死なせてくれないのよ」

「…初めての理解者で、嬉しいよ」

衣ずれの音がする。

泉水が先生に抱きついているのがわかる。

泉水の制服のスカーフが抜き取られ、スカートがめくられ、泉水が押し倒された……音。

…………嫌だ!!

泉水のためなのか、単なる嫉妬なのか、わたしは、わからなかった。

でも、『これ』が絶対に間違っていることだけはわかっていた。

泉水の太もものアザにキスをされたら、終わりだ!!

………先生!!

こんなのどうしても納得できない!!!

ドンドンッと力の限り音楽室のドアを叩く。

「先生…!!だめ!!お願い、そんなことやめて―――!!!」

涙がはじけ飛ぶ。

先生………泉水には手出ししないって言ったのに……!

「…うぅ…えっ」

泣きながら寄りかかっていたドアが、重たい音をたてて、突然開いた。



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