ヴァンパイアに、死の花束を
瞬間。

頭を押さえられた男たちは、電流がビリビリと全身を流れているように、体を振動させた。

そのまま白目をむいて倒れる2人。

男たちの手が急に離れ、後ろに倒れそうになったわたしをレイが腕を掴んで支えてくれた。

「レイ…この人たち、どうなっちゃったの?」

「ちょっとね、頭に電流を流してあげたの。しばらくは『僕は誰?』状態だと思うけど、ま、女の子傷つけた罪は重いからね」

そう言ってニっと笑ったレイの瞳は、戦闘状態に入った時のヴァンパイアの氷のような瞳で、わたしをゾクっとさせた。

シオはうめきながら穂高に向かってひざまづき、一礼した。

「……その強さ、そのバイオレットの瞳。よほど高貴な生まれの方なのでしょう。失礼致しました。泉水の処分については、あなた方にお任せいたします。今はこれにて」

シオはそう言うと怯えながら立っていた一人の吸血鬼を促し、夜の闇に消えていった。

「穂高!!」

穂高に駆け寄ろうとしたその瞬間。

英一が傍にあった銃を取り、泉水に銃口を向けた。

「ち…近寄ったら、泉水を殺すぞ…!」

ガクガクと震える銃口。

「やめて!!」

走り寄ろうとしたわたしを穂高が制止する。

「待て。…泉水が目を覚ました」

「え…?」





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