ヴァンパイアに、死の花束を
ヒヤリ、と冷たい感触が喉に当たった。

牙………。

「……ほ…だか……」

でもその感触は、当たっただけで、食い込んではこなかった。

顔を上げた穂高が、わたしを見下ろす。

その瞳は、哀しげで、今にも狂うような危うげな色を帯びていた。

「穂高…?」

「……お前、いい女になった。理性が飛んでしまいそうなほどに。……血の味を知ったのか?」

ゴクリ、と喉が鳴る。

………もう、ごまかせない!!

「…ごめんなさい。わたし…先生の血を…吸った…」

レイの言葉が甦る。

『愛する者がいるヴァンパイアにとって、吸血行為は『愛の行為』になる。特に初めての吸血は、最も衝動的に愛する者の血を求めるものなんだ』

愛の…行為。

その言葉が、わたしの心に重くのしかかる。

穂高の顔をまともに見られなくて、両手の甲で顔を隠して泣くわたし。

穂高はその手を払いのけると、わたしの唇に激しく唇を覆いかぶせてきた。

「………う」



…………穂高…………!!



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