ヴァンパイアに、死の花束を
恋は麻薬。
吸血鬼の血が、麻薬のように全身に駆け巡って、わたしを支配している。
グラリ、と湯気に濡れた視界が揺れた。
ガチャンと音をたててシャワーホースが床に落ちる。
ぼーっとした頭を押さえて壁に手をついた。
「…また、貧血だ」
陣野先生の血を吸ってから少しおさまっていたのに、とうなだれる。
でも吸血鬼を気絶させるほどの“血の波動”を発した時、自分の体が尋常ではないエネルギーを放出したのは感じていた。
吸血鬼のエネルギーは“血”なんだ、と今さらながらに実感する。
シャワーを止め、バスタオルを体に巻き、鏡を凝視する。
どこからどう見たって普通の女の子のわたしが、鏡の中にいた。
吸血鬼の一族は、こんなわたしのどこを恐れているというのだろう?
ふっと苦笑を漏らした瞬間。
ガチャリと開いた浴室のドア。
「…雪音?」
振り返ったそこに、雪音ではない少女が――――立っていた。
吸血鬼の血が、麻薬のように全身に駆け巡って、わたしを支配している。
グラリ、と湯気に濡れた視界が揺れた。
ガチャンと音をたててシャワーホースが床に落ちる。
ぼーっとした頭を押さえて壁に手をついた。
「…また、貧血だ」
陣野先生の血を吸ってから少しおさまっていたのに、とうなだれる。
でも吸血鬼を気絶させるほどの“血の波動”を発した時、自分の体が尋常ではないエネルギーを放出したのは感じていた。
吸血鬼のエネルギーは“血”なんだ、と今さらながらに実感する。
シャワーを止め、バスタオルを体に巻き、鏡を凝視する。
どこからどう見たって普通の女の子のわたしが、鏡の中にいた。
吸血鬼の一族は、こんなわたしのどこを恐れているというのだろう?
ふっと苦笑を漏らした瞬間。
ガチャリと開いた浴室のドア。
「…雪音?」
振り返ったそこに、雪音ではない少女が――――立っていた。