ヴァンパイアに、死の花束を
ふわり、と穂高が目を細めて微笑んだ。

「…やっぱり、神音はおでこ出したほうが、かわいいな」

笑顔でパーカーのフードをポスっとわたしに被せると、

穂高はそのまま、わたしの額にキスをした。

……トクン、と胸が高鳴る。

傷が治ってやっとおでこを出す勇気の出たわたしは、3日ほど前から前髪をサイドに流す髪型に変えていた。

……穂高がくれた、奇跡。

「穂高、傷、治してくれてありがとう……」

やっとお礼が言えたことにほっとする。

穂高はそれにはそっけない様子でわたしの頭をポンと叩くと、わたしの手を引き、歩き出した。

…穂高、あなたは、なんだか、とても不思議な人。

冷たい表情を見せたかと思えば、柔らかい笑みを見せる。

優しくキスしたかと思えば、そっけなくそっぽを向く。

なんだかわからなくて、わたしは彼の手を離さないようにぎゅっと握りしめた。







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