ヴァンパイアに、死の花束を
レイの車で出発して3時間。
わたしたちは、特に追手の姿を見かけることもなく、わたしたちの住んでいた街にたどり着いた。
帰ってきた自分の家が、特に何も変わっていないことにほっとして、わたしは車を降りた。
「雪音、家に着いたよ」
疲れて眠っていた雪音が目をこすりながら車から降りる。
「神音ちゃん。オレは外を見張ってるから雪音ちゃんを部屋に連れてってあげて」
レイが車の中からニッコリと手を振る。
「ありがと」
言いながらわたしは雪音の手を取って家の玄関に向かって歩き始めた。
たった1泊、家を空けただけなのに、すごく長いこと家にいなかったような気がする。
玄関のドアを開け、雪音を中へ入れたその時。
背後で動いた気配に、わたしは体の動きを封じられた。
「……ふっ…ぐ」
後ろから現れた大きな手に、口を塞がれる。
わたしを羽交い絞めにしている者の手が、玄関のドアを閉め、わたしをドアに押しかぶせた。
……だ……誰……!?
「……イヴ様。おとなしくしてください」
「!?」
低く、囁くような男の声がした瞬間、
「……ぐ…ぁ!」
その男の呻き声が耳元に覆いかぶさった。
そのまま崩れ落ちるようにわたしから離れていく男の体を、わたしは振り返った。
横腹を押さえて倒れ込む男の向こう側に現れた麗しい銀髪の男がニィと笑う。
「…懲りないねぇ、君。ヴァンパイアには敵わないって、せっかく教えてあげたのに」
「…レイ!!」
わたしたちは、特に追手の姿を見かけることもなく、わたしたちの住んでいた街にたどり着いた。
帰ってきた自分の家が、特に何も変わっていないことにほっとして、わたしは車を降りた。
「雪音、家に着いたよ」
疲れて眠っていた雪音が目をこすりながら車から降りる。
「神音ちゃん。オレは外を見張ってるから雪音ちゃんを部屋に連れてってあげて」
レイが車の中からニッコリと手を振る。
「ありがと」
言いながらわたしは雪音の手を取って家の玄関に向かって歩き始めた。
たった1泊、家を空けただけなのに、すごく長いこと家にいなかったような気がする。
玄関のドアを開け、雪音を中へ入れたその時。
背後で動いた気配に、わたしは体の動きを封じられた。
「……ふっ…ぐ」
後ろから現れた大きな手に、口を塞がれる。
わたしを羽交い絞めにしている者の手が、玄関のドアを閉め、わたしをドアに押しかぶせた。
……だ……誰……!?
「……イヴ様。おとなしくしてください」
「!?」
低く、囁くような男の声がした瞬間、
「……ぐ…ぁ!」
その男の呻き声が耳元に覆いかぶさった。
そのまま崩れ落ちるようにわたしから離れていく男の体を、わたしは振り返った。
横腹を押さえて倒れ込む男の向こう側に現れた麗しい銀髪の男がニィと笑う。
「…懲りないねぇ、君。ヴァンパイアには敵わないって、せっかく教えてあげたのに」
「…レイ!!」